STARG17 二つの思い二人はMSから降りるとどこか話せる場所を探した。リンはさり気なく辺りを見回したが島がまったく見えない・・・無人島という感じがした。そして、今は敵でもあるフォーンがいる、気は抜けない。そして、フォーンはどこか話せる場所を見るとリンの手を引っ張った。「わ、ちょっと・・・!」 リンが引っ張られてきたのは岩に囲まれた少し大きな広場であった。真ん中には焚き火の跡か薪が置いてあった。それを見て以前に誰かがここにいたんだ、というのが分かる。リンは少し不安になる、が、フォーンは平然としていた。リンはフォーンを見るとフォーンに聞いてみた。 「ねぇ・・・そのあんまり・・・敵が近くにいるのに・・・よくそんなにリラックスできるね」 「別に・・・・・今は一緒に生きなきゃダメなんだから・・・休戦中と同じなんじゃない・・・?」 フォーンがそういうと、リンは少し前の自分の行動が馬鹿みたいに思えた。そして、リンは先に降り立つと辺りを見た。敵もいなそうで安全そうに見える。なにより、MSから降りるときに食料を持ってきてたので食料は問題はない、食料をもってる理由はもし、不時着したときに何日間か生きられるようにするためであった。フォーンも持っているので1週間は大丈夫だろう。 フォーンが座ると少し離れた場所にリンは座る。そして、リンに向かいフォーンが聞いた。 「ねぇ・・・あなた・・・アークエンジェルの・・・関係者?」 「・・・まぁ・・・そんなものかな」 そういうと、フォーンは少し辛そうな顔をした。リンはそれを見て少し心配になる。だが、フォーンは少し微笑むとリンに向かい言った。 「助けてくれて・・・ありがとう・・・」 「別に・・・いいさ」 二人は黙った。そして、海の静かな音が漂うだけであった・・・・。 その頃、キラはアークエンジェルへと帰還した。全員がキラに近寄る、キラはため息を着くと俯いた。そして、マリューとバルドフェイドが敬礼をするとキラも敬礼をした。カガリが少し嬉しそうな顔でキラを見た。 「で、どうだった?キラ。リンを無事に届け終えたか?」 キラは辛そうな顔をした。カガリはそれを見て少し不安になる、そして、声が少し掠れるような声でキラに聞いた。 「まさか・・・キラ・・・?」 「・・・・やられたわけじゃないけど・・・地球のどこかに落下した・・。だからマリューさん、助けに行っても・・・」 キラが言いかけたときマリューは首を振った。バルドフェイドは少し辛そうな顔で首を振る。キラは驚き、マリューの前でなぜか分からず聞いてみる。 「なんで・・・?なんでですか?・・・今のアークエンジェルには彼は必要なんですよ!?なんで助けに行かないんですか?」 キラがそう聞くとマリューは目線を逸らさずキラに言った。 「今のアークエンジェルには・・・あなたが必要なの・・・行き先もわからないんでしょ?それこそ無難よ・・・だから・・・このままアークエンジェルは助けに行かず進むわ」 「そうやって・・・見殺しにするんですか?そうやって・・仲間を捨てるんですか?」 バルドフェイドはマリューの前に出るとキラを見た。その顔は深刻な顔だった。 「助けに行きたいさ・・・でも、今は君や僕みたいな強いものがいなきゃアークエンジェルは守れない・・・君や僕がいないときに攻撃されたらどうする?それこそお陀仏さ・・だから、今は辛抱するんだ・・」 バルドフェイドにそういわれるとキラは俯いた。そして、手が白くなるくらい手を強く握り自分を恨んだ。カガリはそれを見て辛くなった。キラは目を瞑り祈った、『必ず・・・帰ってきてほしい』と・・・。 『光と闇』 今こそ 歩き出す 道を 探し続け 闇という暗闇の中 彷徨い 正しき道探し 歩き続ける 果てしなき闇を突き抜けて 希望を僕らは探し続け 振り向かず前を向き ただ歩いて 自分たちの居場所を探し出す たとえ 辛いことがあっても ただ 前を向き歩き続けて この胸に秘めた勇気を 振りかざして 闇を消し去り、光に照らそう 悲しみも孤独も消し去って 未来への鍵は 自分たちの手の中 静かに 光の鍵を 振るい翳して リンはあのあと、フォーンは薪探しに・・・リンは修理を行うことになった。一応敵のMSだが、機能はほぼ自分のナイツオブディスティニーガンダムと同じだった。普通の者にとっては設定は楽ではない、だが、リンにとっては結構楽だった。何より、ナイツオブディスティニーガンダム自体の設定は自分しかできないからだ。なぜ、簡単にできるかはリンも不思議に思ってたがあまり深く考えないことにした。丁度回線を戻すとため息をついた。そして、自分の機体の回線を開くと「あ~・・・」と言ってみる。だが、まだ聞こえない。「まだ、どこか悪いのかな?」といい、色々と見てみる。だが、欠点は見つからない、「もしかしたら」と思い、パスワード画面を出すそれを見て「やっぱり・・・」といい、MSから顔を出す。そして、フォーンがどこかにいないか見てみる。そして、MSの前を歩くフォーンを見つけると機体から顔を出したまま呼んでみる。 「あのさ、直したけどさ、パスワード教えてくれない?」 リンがそういうと、フォーンは黙ったままリンを見た。そして、それを聞いていなかったのように歩いていってしまった。リンはそれを見て困った顔、素振りをする。リンはMSから降りるとフォーンを追った。フォーンは薪を用意していて、黙々とやっている。リンは少し困りながら話しかける。 「あのさ・・・パスワード教えてくれない・・・?そしたら通信使えるからさ」 「・・・・・」 フォーンは黙っていた。リンはため息を着くとその場に座った。そして、フォーンを見る。フォーンは相変わらずせっせと用意している。リンはふと思う、自分のこと・・・どう思っているのか・・・と。リンはフォーンを見つめた。よく見れば、顔は綺麗だし、性格がもう少し明るければ自分の好きな人のタイプにあう。フォーンはリンの目線に気づいたかリンを見る。そして、首を傾げながらリンに尋ねる。 「・・・・どうしたの?私・・・変なこと・・した?」 リンは首を振った。そして、フォーンに向かい言った。 「別に・・なんでもないよ」 リンがそういうと「そう・・・」といい、また用意をし始めた。日も暗くなり、夜になる暗さまでなっていた。フォーンは火をつけるとリンの隣に座る。リンはフォーンが横にきたのでドキッとしたが、それは冷えるから近くにいたほうが温まると考えたのだろう。フォーンはリンを見るとリンに尋ねてきた。それは、ずっと言い出せない言葉だったんだろう、少し力が入っていた。 「あの・・・あなたって・・・大切な・・・何かを失ったことある?」 「・・・・・ああ。失ったものはある」 「それって・・・くだらないもの?」 フォーンにそういわれてリンは心の奥底からなぜか苛立ちが感じ出された。そして、立ち上がりフォーンに向かい怒鳴りつけるように言う。 「くだらないものなんかじゃない!!・・・俺の両親は・・・戦争で死んだんだ!それを・・・くだらない、なんか言わせるか!」 それを聞くとフォーンは辛そうな顔をした。リンは自分が言ったことに気づくと困った顔をした。そして、すぐさまフォーンに向かい頭を下げる。 フォーンはそれを見て「謝らなくて・・・・いいよ」と言った。リンはゆっくりと顔を上げる。 「座って・・・」 そういわれるとリンは黙って座った。そして、焚き火をずっと見つめたままだった。フォーンは焚き火を見つめながらリンに言った。それは、焔のように過去を思い出してるかのように。 「私も・・・最近・・・に、両親を失ったわ・・・一瞬のできごとよ・・・父と母は血を流し無残な光景で死に・・・私だけ残った・・・。自分がそのときは・・・女々しかった・・・憎かった・・・でも、残ってしまった・・・そして・・・デュランダル議長がある日、私に手を伸ばしてくれた・・・『君も・・・孤独のだろう・・・私でよければ・・君の支えになる』と・・・。嬉しかった・・・家族もいない・・私に優しく手を伸ばしてくれたのは・・・私はそして、ザフトで戦うことにしたの・・・」 フォーンは瞳から一粒の涙を流した。リンもその気持ちはわかった、自分がナナミを守るため戦うのと・・・同じだからだ。フォーンはゆっくりとリンの手を握った。そして、リンに優しく言った。 「私達は・・・同じ運命を辿って来たけど・・・なんで敵同士になっちゃったんだろうね・・・仲間・・・だったらよかったのに・・・」 フォーンがそういうと、リンは「うん」といい頷いた。そして、フォーンはしばらくし、リンの横で眠ってしまった。大分疲れて悩んでいたのだろう・・・リンはコートをかけるとゆっくりと海のほうへ歩いていった。そして、海を見つめた。 「なぜ・・・・俺達は戦わなくてはいけないのだろう・・・?」 そういうと、ペンダントを見た。写真は家族で映っていて母と父が笑っている。リンはそして、今の自分とナナミを思い出す。そのとき、瞳から涙が零れ落ちる。 「俺・・・・どうすればいいのかな?戦う理由は・・・・・今はナナミを守る・・・・だけど・・・まだ・・・答えは見つからない・・・自分が戦っている・・・その理由・・・本当の理由が・・・」 リンはペンダントを強く握った。月の光・・・星が・・・悲しく光っていた・・・リンを照らすかのように・・・。 翌日、フォーンは目を覚ました。リンは笑顔でフォーンを迎えてくれた。そして、朝ごはんを食べるとフォーンはフロストリバーガンダムに乗る。そして、リンもナイツオブディスティニーガンダムに乗る、そのとき通信が入る。モニターにフォーンの顔が映し出される。 「どうしたの?何か用?」 リンがそういうと、フォーンは少し顔を赤らめリンに言った。 「ありがとう・・・その・・・助けてくれて」 「ううん・・・人の命はひとつしかないんだ、大切にしなきゃ・・・ね?」 リンがそういうと、フォーンは頷いた。そして、リンが「早く行きなよ」というと、フォーンは頷き飛び立った。リンはそれを見送ると飛び立った。再び蒼い羽が大空に飛び立ったのだった・・・・。 ある程度進むとレーダーに熱源を感知した。リンはビームライフルを装備し慎重に進む。そして、その機体の姿が見えた。イージスガンダムのような機体で色は赤、目の色は緑色でシールドは青で、後ろにはエールストライカーらしきものがついていた。相手もビームライフルを構え、二人は一定の距離をとる。 「誰だ!俺は戦いたくない・・・!ここを通らせてくれっ!」 リンがそういうと、パイロットは呆然としリンに向かい言った。 「お前・・・リンか?・・・・俺だ!ディルノ・シバだ!」 「ディルノ・・・?ディルノなのか!?」 二人は武器を下ろした。そして、リンはディルノを見た。ディルノもリンを見る。この再会が二人の出会いであった・・・・。 『アメノナカ』 雨の振る あの公園で 静かに震えていた子猫が なぜか、子供のときの自分に見えた それは自分が可哀想だからと 思ったからかもしれない ひとつの写真 それが最後の君の面影だから 君がいてくれた あのときを 思い出したいけど 忘れてしまう でも、ずっと 胸にしまっているから 私を思い出して なぜか 今日の雨は 冷たく切なかった・・・ |